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JR筬島駅

 JR宗谷本線・筬島駅は、筬島地区の玄関口として1922年に開業しました。1967年に筬島橋が完成するまで、筬島と音威子府市街を結ぶ交通手段といえば渡船か鉄道、冬の氷橋しか存在せず、天塩川と山に囲まれたこの集落にとって駅は非常に重要な存在でした。

 

 開業以降筬島駅には4名の職員が常駐し、かつては木造駅舎と2面2線のホームを持つ立派な駅でした。昭和30年代は1日平均50〜60人の乗車があったとの記録が残っています。

 その後、地区の人口減少と合わせて利用者も減っていき、さらに国鉄合理化の流れで貨物取扱の廃止と無人化を敢行。駅舎も解体され現在の貨車駅に変更されました。2006年を最後に1日平均乗車人員は1人を下回り続けており、2016年頃からJR北海道の廃止対象駅として存続議論が続けられてきました。2021年より、筬島駅は音威子府村による維持管理へ移行し、当館の最寄り駅として今日も役目を果たしています。

 鉄道ファンの間では、全国的に見ても特に綺麗な貨車駅、難読駅、そして秘境駅として密かに人気を集めています。駅前には国鉄時代の駅名標が立てられ、全国屈指の秘境駅跡と名高い旧神路駅(1977年信号場降格、1985年廃止)の存在を示す貴重な遺産として注目されていましたが、老朽化に伴い撤去されています。

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現在の筬島駅駅舎(2022年9月撮影)

駅名の由来

 この地区は住所にもなっている「物満内(ものまない)」が元々の名前であり、「筬島(おさしま)」という地名は駅設置に合わせて新しく名付けられたものです。「物満内」が駅名とならなかった理由については、『音威子府村史』によると「土地の名称をとって物満内駅とする予定だったが、3文字は語呂が悪く事務上煩雑であるため二字の駅名とした」という旨が当時の新聞や具申文書に書かれているとのことです。

 「筬島」の由来としては以下の説があります。

  • アイヌ語「オサシマナイ/オサシマンナイ」(意味:川尻を下るところにある小沢)の上部をとったもの。筬島駅周辺の地形を指したものとされる。「オサシマンナイ」は明治時代の地図でも確認できないが、後述する「オサニコンナイ」のことを指すという説もある。

  • 筬島橋の下流に存在した「オサネコ川」より変化。オサはアイヌ語で「織機の付属具」、ネコは「簗(やな。川の中で魚を捕らえる仕掛け)」を意味し、この川でアイヌが簗を用いて魚をとっていたことに由来すると考えられる。

  • アイヌ語「オタ・ニコル・ナイ」(意味:細い砂浜を通っている川。現在の日置川)が転訛した「オサニコンナイ」と、「ピラ・ケシ・オマ・ナイ」(意味:がけの端にある川。現在の加藤ノ沢川)が転訛した「ピラケシマナイ」という、筬島地区周辺の2つの地名を混成したもの。

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雪の中の筬島駅旧駅舎(1978年3月19日撮影)

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音威子府村内の駅における宗谷本線ダイヤ表(平成3年度時点)

2022年現在、筬島駅に停車する列車は1日上下3本のみとなっている。

沿革

1902年(明治35年) ●鉄道敷設に向けた第1回測量が実施される。

1917年(大正6年 ●着工。その後工事が一時中断される。

1922年(大正11年)11月8日 ●音威子府~誉平(現・天塩中川)の鉄道開通に伴い筬島駅開業。

1936年(昭和11年)5月 ●「上りホームに旅客待合室新設」との記録あり(※上りホームは現存しない)。

1939年(昭和14年)8月3日 ●「一連の雨によって線路・路班が決壊し流されて線路が梯子状態となり一週間を要して平常運転を行う」との記録あり。

1940年(昭和15年)10 ●「上りホーム30m延長」との記録あり。

1940年(昭和15年)5月28日 ●神路〜筬島間で「土砂崩壊して(中略)機関車及び貨車共に天塩川に追落」との記録あり。

1952年(昭和27年) ●「便所改築」との記録あり。

1970年(昭和45年)9月2日 ●神路~筬島間で路盤沈下・築堤決壊。貨物列車が脱線し築堤下に転落・横転する大事故が発生。


1982年(昭和57年)11月15日 ●貨物取扱廃止。

1984年(昭和59年)11月10日 ●無人駅化。

1990年前後? ●木造駅舎が解体され、現在の貨物駅舎となる。

2008年(昭和59年)4月 ●砂澤ビッキがアトリエで午前3時に汽笛を聞いていたとされる夜行列車「利尻」の運行が終了。


2021年(令和3年) ●JR北海道から音威子府村による維持管理へ移行。

2022年(令和3年)8月8日 ●音威子府~筬島間にて約50mにわたり線路に土砂が流入。道床が流出し11日まで運休。

 

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